岡山市街中心部に位置する岡山工場(本社)は、住宅地で安全に操業することを常に心がけています。その中で生まれたのが「三重四重の環境対策」というコンセプトです。
一例を挙げると、めっきラインからの液漏れを想定し、めっきラインの処理槽の下には必ず「受け皿」が設置され、もし液漏れしても「受け皿」で受け止めて流出を防ぎます。また受け皿で受け切れないほどの液漏れがあったとしても、高さ10cmの「土手(堤防)」がめっきラインをぐるりと囲んでいて流出を防ぎます。また、この土手を超えるような液漏れがあっても、生産フロア自体が一段低く作られていて、階段や搬入口などからの工場外への流出を防ぎます。さらに大地震などによって工場外へ液漏れしたとしても、工場敷地と道路の境界線にある「溝(溜枡)」や「土手(堤防)」で流出を防ぎます。
つまり、工場内で万が一に事故が発生しても、3回ないし4回のチェックポイントを設けて工場外への流出を防ぐ仕組みが「三重四重の環境対策」です。
現在では自動測定などデジタル技術も活用して三重四重の環境安全を常に確保しています。
岡山工場の排水処理設備の特長は全ての処理槽が地上にある点です。以前は地下ピット方式を採用していましたが、この方式では地下浸透の心配があり、年に数回、地下槽を空にして槽の割れやライニングを確認する定期点検をおこなう必要がありました。「土壌汚染対策法」の施行を機に地下槽を廃止して地上化し、「見える化」することで常に監視できる状態にしました。お客様から原価低減を強く要求されている中で負担が大きい投資でしたが、2003年から3年かけて完全に「見える化」した排水処理場に作り替えました。
近隣住民への配慮
防音窓、防音壁、遮光ロールカーテンなど、24時間操業しても住民の安眠などを妨げない工夫をしました。
社員への配慮
吸気ダクトと排気ダクトを設け、空気の流れを作り働きやすい環境にしました。
環境への配慮
床:
防水アスファルトを挟み込んだ5層コーティングの床にすることで地下浸透を徹底廃除するとともに、このフロア自体が「受け皿」となります。めっき設備は当社独自の設計で自重だけで支える設備とし、アンカーボルトによる固定などで床のコーティングにひび割れなどが発生しないよう気を配っています。
排水処理:
めっき排液は7系統に分別して回収処理し、その一部はリサイクルするなど環境負荷軽減を図っています。
環境オールインワン工場とは、排水処理場をはじめ、薬品室やスクラップ置場、さらにはトラックヤードに至るまで全ての機能を工場内に集約するというコンセプトです。
これにより漏洩対策がしづらい工場外の配管が不要になり、薬品運搬時に誤って転倒させるようなことなどがあっても工場外に流出させることはありません。
また、栃木工場ではICカードによるセキュリティシステムを導入し、工場ならびに工場各所への出入りや薬品の持ち出しなど全てを管理しています。
その他、岡山工場で培ったノウハウや対策は当然ながら全て盛り込んでいます。
工場の一等地である1階フロアを排水処理設備が占拠することは、生産性を多少犠牲にすることになりましたが、これから先も地球や地域といっしょに生きていく私たちにとって、環境安全対策を最優先に考えた工場づくりをおこないました。