ニッケル、クロム多層めっき

ニッケルめっきは、耐食性や耐熱性、機械的性質などに優れた特性を持っていることから、各種めっきの下地めっきとして使用されています。特に、装飾&耐食性用途のクロムめっきの下地めっきとして、自動車、家電、産業機械など幅広い分野で活躍しています。

めっき種類 特長(特性値)
下地ニッケル二層めっき ・Ni皮膜中のイオウ含有量の違いによる電位差を利用した二層Ni めっき(犠牲防食原理)は、耐食性に優れています。
・下層の半光沢ニッケルはイオウ含有量 0.005%、上層の光沢ニッケルめっきのイオウ含有量が 0.05%。自然電極電位 (貴)半光沢ニッケル>光沢ニッケル(卑)   
・めっき厚みは合計20~30μm程度。膜厚比は半光沢:光沢= 6:4がよい。
下地ニッケル三層めっき 下地ニッケル二層めっきの中間に、さらに硫黄含有量の高いめっき層を挟み込むことによって耐食性の改善を図っています。
微粒子分散複合ニッケルめっき
(商品名:ジュールニッケルめっき)
不溶性の無機質微粒子(粒径は約0.02μm)をニッケルめっき皮膜中に分散共析出させたニッケル複合めっき。
マイクロポアクロムめっき クロムめっき自身は、普通の装飾クロムめっきですが、下地ニッケルめっき層に粒子分散複合めっきを行うと、粒子の上にはクロムめっきが付かないので、結果として、微小孔(マイクロポア)が開いたクロムめっきになります。微小孔の数は、1cm2あたり20,000~400,000個に制御されています。この微小孔が腐食電流を分散させることにより、耐食性は飛躍的に改善されます。
マイクロクラッククロムめっき クロムめっき液にある種の応力増加剤を添加することにより、クロムめっき皮膜に微小なクラック(割れ)を発生させたもの。このマイクロクラックが、マイクロポアクロムめっきと同様に、腐食電流を分散させ耐食性が改善されています。

採用事例

ニッケル、クロム多層めっき

鉄素地上の二層ニッケル、
クロムめっきの模式図